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鷹の爪と唐辛子の違い



呼び名が違う鷹の爪と唐辛子、実は同じトウガラシ品種ということは皆さんご存じですか。

「鷹の爪」も「唐辛子」も辛味成分を含んだナス科トウガラシ属に分類される野菜です。

他にもピーマンやパプリカ、シシトウガラシなども広義には同じナス科トウガラシ属で、甘味種という甘とうがらしに分類されています。

同じナス科トウガラシ属でも辛いものと辛くないものがあるのは不思議ですよね。



よく『赤い=辛い』『青い=辛くない』と認識されていますが、辛さは品種(カプサイシンの有無)によって程度が異なります。

一般的にピーマン、ししとうは青く辛味もありませんが、熟せば赤く色づきます。赤くなったからといって辛味が増すわけではなく、熟して甘くなります。

基本的に全てのトウガラシ属の植物は熟す前は緑で、熟したら赤色やオレンジ色になるので、色で辛さを判断するのは危険です。

また唐辛子の辛さは栽培環境に左右されます。

どういうことかというと、ししとうは甘とうがらしに分類されていますが、まれに辛味が強いものがあります。

それは栽培している中で高温乾燥や肥料切れなどの苗がストレスを受けカプサイシンが多く生成されるためです。

通常水をたっぷりあげ、栄養もしっかりあげて育てストレスを与えなければ辛くなりません。

つまり辛い唐辛子を作りたい場合は、栄養価の無い土壌で必要最低限の水を与え、唐辛子にストレスをかけるようにすれば同じか品種でも辛い唐辛子ができるということです。

話がそれましたが、ここからは唐辛子と鷹の爪の違いについてみてみよう思います。

まずは唐辛子。唐辛子の主な原産国は中南米です。

唐辛子は1万年以上前から栽培されている歴史があります。メキシコのほうでは紀元前6,000年頃から、唐辛子が調理に使われていたことが判っています。

唐辛子の世界的な普及の礎となったのはコロンブスです。

コロンブスはマルコ・ポーロの書物からその当時希少で高価だった胡椒を求めインドへ向かい、インドと間違えカリブ海に浮かぶ西インド諸島に上陸しました。

そこで唐辛子を胡椒の仲間だと思い込み持ち帰り、香辛料の需要の高さから、すぐにヨーロッパ広域に広がりました。

【日本伝来には諸説あって・・・・】

①1543年、ポルトガル人が種子島に鉄砲を伝えた「鉄砲伝来」。その折に、同時に持ち込まれたとされる説。

②日本には1542年に当時海外との交易に関わっていた武将、大友義鎮(よししげ)がポルトガル人宣教師「バイタザール・ガコ」から献上された説。

③16世紀の終わりに豊臣秀吉が起こした朝鮮出兵。この時加藤清正が日本に唐辛子を持ち帰ったという説。

どれも真相は分かっていませんが15世紀から16世紀頃に伝来されたと考えていいようです。

当時は食用というわけではなく、毒として扱われたり、足袋に入れて霜焼け予防として使われたりしたそうです。

一方の鷹の爪。鷹の爪は日本国産の品種です。江戸時代ごろから栽培が開始し、本鷹や熊鷹などいくつかの品種があります。

形状としては、先が爪のように曲がっているのが特徴で、鳥の鷹の爪の鉤爪(カギヅメ)の形に似ていることから鷹の爪と呼ばれています。

他の種類の唐辛子と比べて実の大きさは小さく、つき方は唐辛子とは異なり、上向きに実がつく。

鷹の爪は唐辛子の中でも比較的辛さは低く、料理にも使いやすので、唐辛子の中でも最もポピュラーな品種です。

外来当初はわずかな種類から始まったと考えられている唐辛子ですが、品種改良が進んだこともあり、今では観賞用も含め1,000種類以上の唐辛子が存在しています。

唐辛子の形状としては、柄が長く、卵状披針形と呼ばれる形をしています。種の中には、キャロライナ・リーパーのように卵状で細長くない形のもの見られます。

現在日本における唐辛子は消費量の9割以上を輸入に頼っており、国内自給率はおよそ3%だといわれています。

国内産唐辛子のおもな産地は福岡県や兵庫県、栃木県などで、晩夏から初冬にかけて収穫シーズンになりますが、乾燥したものは年中手に入ります。

使いやすく手頃に手に入る鷹の爪は赤唐辛子の総称のようにもなっていますが、

鷹の爪や「本鷹(ほんたか)」は鷹の爪群。「八房(やつぶさ)」や「熊鷹」は八房群。

「伏見辛」や「日光」は伏見群というように、辛さの度合いや収量、特性などによっていくつかの系統に分類されます。

つまり『唐辛子=鷹の爪』ということではなく、いくつかある唐辛子の品種の一つが鷹の爪ということです。

辛味も程よくどの料理にも使いやすい鷹の爪が唐辛子の中で格段手に取りやすいですが、この機会にぜひいろんな品種の唐辛子を試してみるのも楽しいかもしれません。

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