top of page

一味 七味

普段何気なく使い分けている一味唐辛子と七味唐辛子ですが、そもそもなにが違うかご存じですか?


簡単に言うと一味唐辛子は唐辛子オンリーで、七味唐辛子は唐辛子と他の香辛料をミックスした調味料です。


つまり一味唐辛子はただ乾燥させた唐辛子の実を粉末にした調味料になります。それに比べ、七味唐辛子はあくまでも唐辛子がベースで、別の香辛料も入っています。ここでいう別の香辛料といっても特に決まりはなく、中身は生産者によって違います。また、七味唐辛子というのだから7種類の香辛料が入っているのかと思いきや、入っている香辛料が6種類でも8種類でも七味唐辛子に分類されます。ここでいう七味唐辛子の「七」は薬味の数ではなく、京都清水寺の門前にある「七味家」の屋号を食品メーカーも含む全国の薬味屋が使用したから七味唐辛子と呼ばれるようになったそうです。


七味は元々は漢方薬を食用にしたいというところから生まれました。確かに山椒や胡麻などひとつひとつ見てみると体に良い効果をもたらすものが多く含まれていますよね。その為、昔から健康面で重宝されてきたようです。江戸の薬研堀で初代からしや徳右衛門という方が、漢方薬に着想を得て、唐辛子をはじめ七種の素材を配合した「七色(七味)唐辛子」を開発し、売り出したことが始まりといわれています。当時は薬効が期待され寺社の門前で販売されることが多かったですが、江戸の食文化と共に全国へと広がっていきました。

七味唐辛子には唐辛子の他に山椒・陳皮(みかんのかわ)・ケシの実・麻の実・黒胡麻・青のり・紫蘇・生姜などがよく用いられます。


上記でも述べた通り七味の中身は生産者によってまちまちなのでパッケージの商品名を確認して、何が使われているのかみてみるのも面白いと思います。

例えば「三大七味」と呼ばれるやげん堀・七味家本舗・八幡屋礒五郎の七味を見てみると

やげん掘(東京)は通常の唐辛子の他に焼唐辛子をブレンドして辛さに深みを出しています。

七味家本舗(京都)は黒ゴマの他に白ごまを用い、青のり・青じそを使うことで香り高い七味になっています。

また、八幡屋礒五郎(長野)は生姜や紫蘇を使用しており、味と香りの調和がとれた独特の味になります。


ちなみに弊社の七味唐辛子は唐辛子・陳皮・山椒・白いり胡麻・青のり・赤しそ・焼きのり。


生七味は唐辛子・柚子皮・藻塩・山椒・黒胡麻・青さ・生姜を使用しています。


どちらも国内産の原材料にこだわっており、風味豊かな中にも辛味のある七味唐辛子になっています。




一般的には、関東の方が唐辛子の割合が高く、関西の方は山椒などの香りが強い薬味が多く用いられています。関東は、カツオ出汁が主で濃い口醤油を使うので、それに負けないような辛味の強い唐辛子を使用し、関西は、カツオ出汁・昆布出汁で薄口醤油を使うので、香りの強いもの、色の美しい唐辛子を使用するようです。

では、実際料理に辛味を足したいときに『一味唐辛子と七味唐辛子どちらを使えばいいの?』と悩むと思います。


辛さに関していえば一味は唐辛子のみなので唐辛子そのものの辛さがダイレクトに伝わります。つまり辛い唐辛子を使えば一味唐辛子の方が辛いということになります。ただ、辛味の強い唐辛子を七味に使用していれば、辛さの弱い一味より七味の方が辛くなります。その為、会社や生産元によっては、一味が辛くないと感じるところや、七味が物凄く辛く感じるところなど様々あります。


使用方法として一味唐辛子は、シンプルに料理の辛さを増したいときに使います。また、一味唐辛子は日本だけでなく世界共通の調味料ということもあり、和洋中全ての料理に合います。それに対し七味唐辛子は、辛さを増して風味を豊かにしたいときに使用します。例えば、蕎麦やうどん豚汁などにも合います。ただ、七味は加熱すると香りが飛んでしまうので、隠し味や調味料としては不向きです。また、七味唐辛子は日本独自のものなので、和食系によく合います。


一味でなければいけない用途や、七味だからこそ合うもの、味付けや香り付けまで様々です。


この機会に一味や七味の魅力を知り、使い方を学んで、それぞれの食材に適したものを見つけ、いつものご飯をより美味しく頂いてみてはいかがでしょうか。


少なくとも、香りや風味を加えたいときには「七味」、純粋に辛さを足したい時には「一味」と覚えて頂けたら幸いです。

bottom of page